俳句の作り方 薔薇の俳句

微笑する薔薇に魅入られペンぽとり  伊庭直子いばなおこ

薔薇が夏の季語。

この句は『河』誌2021年8月号に掲載された作品です。

 

 花屋で買い求めた薔薇。

それを机上に活けました。

むろん句づくりのためです。

じっと見つめました。

すると薔薇が人格を持っているかのような錯覚に陥りました。

さらに見つめるとなんとほほえんでいるではありませんか!

薔薇の魅力に捕らわれて握っていたペンを落としてしまいました。

微笑する薔薇に魅入られペンぽとり

 

 薔薇を見ていると、しばしば私は人であるような気持ちになります。

その気持ちを「微笑する」という動詞で表現しました。

 この用法を擬人法といいます。

自分の気持ちを物に託せます。

 

 例句をあげます。

水仙はつんとしてをり詠ひをり  伊庭直子いばなおこ

すいせんは つんとしており うたいおり

詠うはこの場合俳句を作るという意味です。

水仙が擬人化されています。

水仙がつんとしていて詠っている。

まさに擬人法です。

ちなみに水仙はわたくしのことです。

 

 ふたつめの例句。

黄揚羽は蛹にもどる夢を見る  伊庭直子いばなおこ

きあげはは さなぎにもどる ゆめをみる

夢を見る黄揚羽が擬人法です。

幼い日々の楽しい思い出への憧れ。

それを黄揚羽に託しました。

 

 

 擬人法はなかなか便利な用法です。

ですが、安易に使ってはなりません。

擬人法以外に、本当に自分の心を表現できないのか?

つきつめて考えねばなりません。

 

 

 微笑する薔薇に魅入られペンぽとり

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